メッセージ

メッセージ

まちを元気に!

 花巻市は、「宮沢賢治」生誕のまちとして、賢治や作品にゆかりのあるモノやコトなどを生かした街づくりが進められております。当事務所でも「ハーナムキヤ景観研究所」と共同で「賢治・星めぐりの街 花巻」活性化事業を実施してまいりました。現在は花巻商工会議所に「賢治・星めぐりの街づくり推進事業」として引き継がれ、当事務所もその推進メンバーとして参画しております。

 さらに、当事務所では、賢治作品の「黒ぶだう」に登場するベチュアラ侯爵邸のモデルと考えられ、賢治が作品を想起させた屋敷「菊池捍邸」の保存と活用に取り組んでおります。

 このほか、花巻市に残された歴史的建造物等の保存や活用の模索をはじめ、人が集まり交流する装置や施設整備の提案を行っております。 これら地方独自の魅力を発掘し、魅力を発信していくことで、高齢化と空洞化にさらされ、ともすれば活力を失いそうな地方都市の中心市街地の「まちを元気にする」ことに取り組み続けます。

人を元気に!

 急速に進む地方の高齢化に対して、国や地方行政がその対策に追い付いていけるのか。この将来に対するキチンとした回答が見えず、漠然とした不安を抱えながら暮らすことによるストレスが、人々の希望と元気をむしばんでいるよう見えます。

 当事務所は、今まで多くの病院や医院などの医療関係、グループホームやデイサービス施設、小規模・多機能などの福祉・介護関係施設、老人ホームなどの設計を行ってきました。

 その設計の原点は、人を元気にすること。元気は人と人が触れ合い交流することから生まれ、そこから生まれた信頼によってお互いに支えあうことのできる社会を目指すこと。それが地方に暮らす人々の将来の不安をすこしでも解消できると信じているからです。

 人と人が快適に交流できる空間、そして安心して過ごせる空間づくりを通じて「人の心身を元気にすること」に取り組み続けます。

風土を資源に!

風土とは、その土地固有の気候や地形、地味、地勢、自然環境の総称です。その土地に暮らす人々は、この風土とともに暮らし、そこからさまざまなモノやコトが派生し、それがその地域の固有な思想や文化を生み出しました。

 その風土から生まれたものに、地域特有の建築関連の素材や工法、あるいは色やカタチもあります。風土とともに生き育て上げられ、鍛え上げられたそれらのものは、ある意味で最もその土地や地方に適合したものだと考えます。

 もちろん進化を続ける最新工法や技術、設備や文化を否定するのではありません。むしろ、それらが補完し相乗効果を高めることを目指します。風土が時間をかけて鍛え上げたさまざまな資源をしっかり見据え、それを現代科学で最適なものに変えて活用すること。風土の醸し出すエッセンスが現代科学と融合し、地域の未来を創造していく空間づくりを模索し続けます。

「縁(ゆかり)」を深める。

 人が触れ合い、交流することで、理解し、刺激し、啓発するようないい関係が生まれるための空間はいったいどうあるべきか。この問題はまちや社交場や集会所だけに限らず、あらゆる場所や施設の住宅までも含めた空間デザインに問われています。

 東日本大震災は、地域コミュニティにおける「絆」の意味と価値を思い出させました。 被災地に新たに建設が予定されている復興住宅において、この「絆」の維持と形成が大きな課題であると考えます。

 この「絆」は、「縁」によって育まれるものと考えます。むかしの住宅における縁側は、公式の入口である「玄関」を経由しない近所の人々の気軽な交流空間でした。この縁側のある家が少なくなって、どこか近所付き合いも、よそよそしくなったような気がします。

 これからはこの住宅の縁側のような、格式張らなない気軽に交流できる機能を持った空間づくりが課題なのかもしれません。人と人のと「縁:ゆかり」をつくり、暖め、深める場所、都市で街でもそんなまちづくり、家づくりを進めていきます。